将来的な一般就労、または障害者雇用を目指す場として通所するA型作業所では、健常者が通所することは可能なのでしょうか?
今回は、健常者がA型作業所で通所できるか、できるとすればどのような業務になるのかなどを紹介していきます。
健常者はA型作業所に通所できる?
そもそも障害者が働く場として利用されているA型作業所で、健常者が通所して働くことはできるのでしょうか?
- 基本的に健常者がA型作業所に通所することはできない
結論から書きますが、健常者がA型作業所に通所することはできません。
A型作業所に通所する場合は、
・就労の経験はあるが、現在は病状によって働くことができない
・就労支援制度を利用しても就職ができなかった
・特別学級などを卒業したけれど、雇用されなかった
という方たちが利用している場です。
障害者手帳が無いと入所できないと勘違いされている方も多いですが、実際のところ、障害者手帳がなくともA型作業所への入所は可能です。
その場合、医師の診断書、定期的に通院をしている通院証明書が必要となります。
- 例外的に健常者がA型作業所で通所する場合
健常者がA型作業所に通所できないことは紹介しましたが、例外として健常者が通所している場合もあります。
というより、健常者を数人配置しなければならないのがA型作業所の決まりでもあります。
具体的に健常者がどのような業務に携わっているか、紹介します。
- サービス管理責任者(サビ菅)
利用者の支援計画を作成したり、アセスメント(障害者の仕事内容が適切かどうかを見極め、評価する)を取ったりするサービス管理責任者は、A型作業所にひとりは必ずいなければいけません。
また仕事上で悩んでいることを聞き出し、指導や助言なども行います。
私がA型作業所に通所していた際、障害者枠で通所しているときに勉強をしてサービス管理責任者の資格を取得し、A型作業所の役員になった方もいます。
- 職業指導員
在籍していたA型作業所では、第一線を退いたシニアの健常者が職業指導員として通所していました。
一般的なパソコンスキルやデータ入力作業をチェック、食品工場では一緒に作業をしながら、障害者の得手不得手を判別し、障害者に合った仕事を指導します。
業務の進捗状況や障害者の体調など、常に私たちの様子を見ながら指導しつつ、自分の仕事をしていました。
なお職業指導員には指導員手当てが付く場合がほとんどです。
- 支援員
支援員もA型作業所には欠かせない存在です。この仕事も、健常者がその役割を担っていました。
サービス管理責任者の仕事とかぶる部分もありますが、障害者の悩み、苦しみを聞いて、どうすれば障害者が安心して通所できるか、一緒に考えてくれます。
私が通所していたA型作業所は、指導員から部長・社長・上司への連絡が非常に早く、今朝生活指導員に相談したことが夕方には解決した、ということも多々ありました。
A型作業所に通所できる人
基本的に健常者はA型作業所に通所できないということが分かっていただけたでしょうか。
次に、A型作業所に通所することができる人を簡単に紹介します。
- 身体障害者
四肢に障害があったり、聴覚障害、言語障害などの障害を抱えていたりする方はA型作業所に通院することができます。
バリアフリーの事業所もありますが、在籍していたA型作業所では、あまり設備が整っておらず、車いすの身体障害者が入所する際、一斉に席替えを行って車いすでも通りやすい通路を作りました。
- 精神障害者
私が在籍していたA型作業所ではほとんどの方が精神障害者でした。
うつ病、双極性障害、統合失調症など様々な障害を抱えた方が通所していました。
目に見える障害ではないので、健常者の生活指導員や職業指導員に理解してもらえない部分もありました。
また、いくらA型作業所とはいえ、あまりにも欠勤が多い、業務態度が悪い場合は、契約更新月に契約満了、退社となった人もいました。
- 知的障害者
複雑な会話の不自由、文章の理解が難しいなどの症状を持つ知的障害者も、A型作業所に通所することができます。
この場合、健常者がいかに障害者の気持ちに寄り添って考えることができるかが問題になります。
またA型作業所での就労も、パソコンを使った細かい作業よりも、清掃やルーティーン作業の製造業などの仕事が多くなっています。
A型作業所で健常者が働くには?
健常者でも場合によってはA型作業所に入れる、と分かったと思います。
では、健常者がA型作業所に通所する場合、どうすれば良いのかを紹介します。
- サービス管理責任者の資格を取得する
これは障害者でも取得できる資格ですが、サービス管理責任者の資格を取得していると、健常者でもA型作業所に通所することができます。
この場合、正社員雇用の求人を出しているA型作業所も多いのが特徴です。
資格を持っているということで、就職にもかなり有利に働くでしょう。
ただしサービス管理責任者の資格は更新性で、5年で失効します。
更新月に更新研修を受ける必要があります。
- シニア募集の求人に応募する
もしかすると、これは私が在籍していたA型作業所だけなのかもしれませんが、そのA型作業所では「障害者」と「シニア」、つまり第一線を退いたけれども、まだ働きたい、というシニア世代を積極的に採用していました。
健常者で、長年仕事をしてきた経験を活かしてA型作業所に通所してもらい、生活指導員として障害者の言動や仕事の指示をしていました。
- 管理者として就業
通所していたA型作業所では、管理者のことを「部長」という肩書で呼んでいました。簡単にいうとA型作業所を統括することが仕事です。
週に一回、指導員やサービス管理責任者を交えてミーティングを行っていましたが、その際に社内の状況を聞き、今後の方向性などを指示していたと思います。
なお管理者になるには、大学や専門学校で、社会福祉士などの資格を有している場合、歓迎されることがあります。
【まとめ】A型作業所で健常者が通所は難しい! けれど道はあります!
健常者がA型作業所へ通所することはできるのか、紹介しました。
原則として健常者がA型作業所に通所することは難しいですが、決して無理ということはありません。
特に介護関係や社会福祉士などの資格があれば、かなり有利に就活を勧めることができるはずです。
A型作業所に入所して、健常者として活躍したい方の参考になればと思います。
以下の記事では、A型作業所で働くまでのステップについて紹介しています。