「A型作業所で働きたいけれど、求人票を見たらびっくりするくらい時給が安いんですけれど……」。A型作業所の仕事を探し始めた方は、まずそこに驚くのではないでしょうか。
今回は、A型作業所に通所している方の最低賃金、その賃金で生活していく方法などを紹介していきます。
A型作業所の最低賃金は?
では実際に、A型作業所の最低賃金を見て生きましょう。
- 東京の最低賃金は1072円
2023年4月現在、東京の最低賃金は1072円に引きあげました。
大阪の最低賃金は1023円、名古屋は986円です。
ご覧のように、地域によって最低賃金は異なります。都市圏では最低賃金が高くなる傾向にありますが、地方に行けば行くほど、最低賃金は低くなります。
- 執筆者の地域の最低賃金
では執筆者が暮らす佐賀県の最低賃金。
ずばり853円です。
これでも2023年10月に改正された賃金ですので、以前はもっと低かったのです。
地方はいかに賃金が安いのか、お分かりいただけたのではないでしょうか。
ちなみに九州の都市圏である福岡は、最低賃金は900円です。
東京ほどとは言えませんが、九州内では最も栄えている県でも3都市圏には及びもつきません。
A型作業所の賃金が安いのは知られたことですが、地域によってここまで差が開いているのはどうにも納得がいかないことですよね。
A型作業所の最低賃金では暮らせない……方法はある?
説明したように、最低賃金は県によって違い、A型作業所の賃金ではとても暮らせる金額ではありません。
ではA型作業所の最低賃金で暮らしていく方法はないのでしょうか。詳しく紹介します。
- 政府の制度を利用する
これはA型作業所を利用したい、利用する人のほとんどが利用しているでしょうが、障害年金があります。
初診日が国保か厚生かで金額は変わりますが、少なくとも多少の収入にはなるでしょう。
また福祉住宅など、低所得者向けの福祉住宅の利用、生活保護などの支援制度があります。
制度を利用するには条件がありますので、各自治体に問い合わせしてみてください。
- 副業をする
A型作業所によっては副業OKとしている作業所もあります。
作業所のサービス管理責任者などが、心身の状態が落ち着いていて、あまり無理をせずにできると判断できれば、副業可と言われる可能性があります。
その代わり、A型作業所での仕事がおろそかになってはいけません。
副業をしたい場合は、医師とA型作業所、両方に相談することを忘れないでください。
- 資格取得の勉強
私が通所していたA型作業所は、ヒマな時間は自習に充てることが可能でした。
そこで簿記を勉強して合格した人もいます。
何か資格を持っていれば、将来的にA型作業所以外で仕事ができる可能性も高くなります。
民間資格はあまり役に立たないことが多いですが、ITパスポート、英語検定などの資格は次の仕事にかなり有利になると考えられます。
- 家族の支援
やはりA型作業所の最低賃金では、家族の支援なしに暮らすことは不可能と言わざるを得ません。
配偶者や子どもがいる場合は、それに応じて加算もありますので、障害年金が少し多くいただけることもあります。
こちらについても、詳しくは地域の障害福祉課などに相談してください。
A型作業所の最低賃金、昇給はある?
A型作業所は一応雇用契約を結んでいるので、「雇用主」と「労働者」という関係でもあります。
ではA型作業所で最低賃金から仕事を始めた場合、昇給などはあるのでしょうか。
- 基本的に昇給はない
これはもう諦めるしかないですが、基本的に昇給はないと考えて良いでしょう。
私はA型作業所に3年半通所していましたが、昇給はありませんでした。
ただし、その間に県の最低賃金が上がったため、結果的に少しだけ給料が上がっただけにすぎません。
他の人の話を聞いても、給料が上がった、という話は聞いたことがないので、昇給に関しては期待しないほうが賢明です。
- 能力によっては昇給可能のA型作業所も
はじめに昇給はない、と書きましたが、A型作業所の考えによっては、利用者の働き方、能力によって、昇給がある場合もあります。
私はハローワークでA型作業所を閲覧していましたが、どこの作業所でも「昇給なし」と書かれているところばかりでした。
- 直接交渉の権利がある
労働者の権利として、団体交渉権を認める法律があります。
A型作業所は雇用契約を結んでいるので、もちろんこれも認められますが、積極的に活動する人はいないでしょう。
何故なら、そこまで活動的になれるのであれば、A型作業所ではなく既に一般就労や障害者雇用で働いているでしょうから。
一応、A型作業所にも直接交渉の権利がある、ということだけ、知っておいてください。
【まとめ】A型作業所の最低賃金、低すぎます!
A型作業所の最低賃金について、各県の最低賃金や最低賃金で暮らしていく方法などについて紹介しました。
A型作業所の最低賃金はとても低く、ひとり暮らしなどとても無理でしょう。障害者であれば尚のことです。
政府も最低賃金の引き上げを進めているようですが、まだまだ足りない、というのが現状です。物価高騰の現在、A型作業所の最低賃金ではとても暮らしていけません。
できるようでしたら、無理のない範囲で副業などをしてお金を貯めるなどの対策をするようにしましょう。