一般職がそうであるように、A型作業所に通所している方もストレスを感じるときもあるでしょう。
私が在籍していたA型作業所は精神障害者がほとんどでしたので、少しのストレスが業務に影響を及ぼすこともよくありました。
今回は、A型作業所に通所している人がストレスを感じるとき8選、またストレスの対処法、私の体験談も交えて紹介していきます。
A型作業所でストレスを感じるのはどんなとき?
どんな仕事でも何かしらのストレスは抱えているものですが、A型作業所に通所している人はどのようなことにストレスを感じるのでしょう。
① 通所すること
まず通所すること自体がストレス、という方も多かったです。
私の住んでいる県は車社会の田舎ですが、障害のため車の運転ができないという人も数人いました。
そうなると公共交通機関を利用するのですが、何しろ朝の時間帯を除いて電車は30~1時間に一本。
しかも最寄り駅に着いたとしても事業所までは徒歩30分かかり、歩くのは非常につらいことです。
雨の日などは、ただでさえ体調も万全ではないのに、徒歩なんてとうてい無理な話です。
バスも朝夕のラッシュ時間はそれなりに本数がありましたが、終業時間が早いため(15時または16時)、駅で1時間待ち、と言っていました。
そのため通所すること自体にストレスを感じている人もいました。
② A型作業所の雰囲気が悪い
これも私がいたA型作業所の話ですが、社長が以前勤めていた会社から、優秀な人材、ということで引き抜いてA型作業所に入社した方がいました。
「部長・兼生活指導員」という肩書だったと思います。その方は障害・障害者に関する理解が薄く、それについて勉強をしている様子もありません。
「障害者と健常者の区別はしません」と常におっしゃっていました。
それはもちろんそうかもしれませんが、障害の特性として、どうしてもできないこともあります(電話に出ること、初対面の人と会話をすること)。
それに対しても「社会人ならできて当然」と突き放して、皆で困り果てていました。
我慢の限界が来たとき、サービス管理責任者に相談して社長たちに伝えてもらい、いくらか見方が変わりました。そこに至るまでに辞めていった人は数知れず。
雰囲気が悪いと、A型作業所に限らずどこでも長期間の勤務は難しいですよね。
③ 人間関係のもつれ
障害者とはいえ、同じ人間なのですから相性というものはあります。
私のいたA型作業所は比較的人間関係には恵まれていて、みんなで楽しく作業にあたっていました。
しかし、ある発達障害の方が入社して、雰囲気が変わりました。
彼は非常に優秀な方で、博識で、違う部署にも首を突っ込んでアドバイスをするような人でした。
それは良いのですが、発達障害ゆえんか彼の性格かは判別できかねますが、あまりにも率直に意見を言うので、言われた側が傷つくこともあります。
いい人ではあるのですが、内心ではちょっと苦手、という人でした。
④ 障害への理解がない
部長の件でも触れましたが、健常者である社長や相談員の中には、障害への理解がない人もいます。
特にサービス管理責任者や職業指導員たちは健常者ですので、どれだけ障害者の目線に立って物事を判別してくれたとしても、どうしても理解できない部分があります。
「こんなことできて当たり前なのに、どうしてできないの?」と率直に言われたこともあります。友人と「できるなら一般職に就職しているよねえ」と言い合っていました。
⑤ 給料が低い!
とにかくお給料が安いので、障害年金の支給があったとしても、かなり切り詰めないと生活は非常に苦しいものです。
私がA型作業所に通所していた時の時給は、715円でした。あまりの低賃金にびっくりでしょうが、地方ではこんなものです。
ちなみに現在(令和3年)は821円、これでも他の都市圏に比べると安いでしょう。
残業も基本的になし、労働時間は4~6時間で、とてもじゃないですが一般職の給料には及びません。
皆2ヵ月に1度の障害年金を待ちわびている、といった感じでした。
⑥ 仕事がうまくできない
私がいたA型作業所は、主治医にすら「A型作業所の仕事内容じゃないですね」と言われるくらい、レベルの高い仕事を求められていました。
私はwebライターとしてA型作業所に入所したのに、実際に記事を書くのは月に5~10本、しかもFacebook記事だったので、長文を書くこともなく、30分もあればできる仕事です。
仕方がないのでPhotoshopとillustratorの勉強をしていたのですが、一か月ひたすら勉強しかしなかった、という時期もありました。
⑦ 体調が安定しないので、重大な仕事を任せてもらえない
A型作業所という特性上仕方がないことなのですが、私は障害が他の人よりも少し重く、一か月に2~3日欠勤することが多くありました。
そうなると、締め切りがある仕事は任せられないのは当然ですよね。
上記でも紹介したように、仕事をしないけれどできない、という状況は想像以上にストレスになります。
他の利用者が忙しくしているのを見るたびに、焦り、悩み、さらに病状が悪化するという悪循環を繰り返していました。
⑧ スキルアップしている実感がない
A型作業所の仕事内容は様々です。
私はIT関連の仕事に就きましたが、他にはみかんの皮むきをする作業、カフェなどの接客業、DVDの視聴作業といったものもあります。
しかし正直に言うと、それが自身のスキルアップにつながっているかどうかは微妙なところです。
私は上記のようにPhotoshopとillustratorの勉強をしていたので、基本的な操作はできます。
しかし「ポスターを作って」と言われたら、できません。
接客業は接客スキルが上がるので、次の仕事探しに役立てるかもしれませんが、「A型作業所でスキルアップした!」と答えられる人はごくわずかだと思います。
A型作業所がストレス……対処法は?
ストレスを溜めすぎると心身に影響が出てしまいます。無理をして仕事をするよりも、対処法を探っていきましょう。
① A型作業所に通所する回数を減らす
A型作業所がストレスの場になり、体調を崩すことが多くなったら、思い切って通所する回数を減らすことも視野に入れましょう。
無理をして症状が悪化するよりはよほどいいでしょう。
今まで6時間を5日、という場合は、4時間を4日、という風に、少しでも通所する回数、時間を減らして心身の調子を整えましょう。
自分の体調で通所時間を決められるのはA型作業所の特権です。
② 支援員に相談する
支援員やサービス管理責任者は、自身の仕事をしながら他の利用者の様子を見ています。
「誰かに話を聞いてほしい」「どうにかして問題を解決したい」という場合は、ぜひ一度支援員に相談してみてください。
上手く話ができない場合は、紙に書いて渡してもいいですね。
「現状を何とかしてほしい」と伝えてみましょう。
③ 学習をする
私もそうでしたが、スキルアップのためひたすら学習していました。
Photoshop、illustratorの他にも、HTMLやCSSの勉強もしていました。
もっともそれらの技術は、私よりはるかに上手な方がいたので、役に立つ機会はありませんでしたが……。
たとえば簿記検定などは、将来のために役に立つ資格です。
ライターとして活躍したいのであれば、日本語検定というものもあります。
「ずっとA型作業所にいたい」という人以外は、別の資格取得を目指して学習すると、ストレス解消にいいかもしれませんね。
④ 休養することも視野に入れる
「どうしても体調が戻らない」「また休んでしまった」と自責の念に押しつぶされそうになってしまっては、休みになりません。
ここはあえて休養を取ることにしましょう。
私も休養を取ったことがあります。期間は2週間だったり、2ヵ月だったりでした。
その間に体調を整え、同時に「今のA型作業所でいいのか」「またストレスを溜めるのではないか」を模索しましょう。
もしかしたら、ストレスは会社側にあって、場所を変えれば問題が解決することもあるかもしれません。
⑤ 他のA型作業所を探す
どうしても今のA型作業所はストレスが溜まる、という場合は他のA型作業所を検討しましょう。
私の住む超田舎県でも、A型作業所は10か所以上ありました。都市圏ではもっと多くのA型作業所があるでしょう。
慣れた場所を離れて別のA型作業所に通所するということ、それ自体がストレス源になるかもしれませんが、次のA型作業所が自分にとってとても居心地の良い環境になるかもしれません。
ハローワークや支援事業所の相談員に連絡をして、他のA型作業所について問い合わせをしてみてください。
⑥ 障害者枠・一般職の仕事を探す
A型作業所だけでなく、障害者枠・一般職の仕事を探すのも手です。
私は現在、障害者雇用の正社員として仕事をしています。完全在宅なので出勤・退勤に時間を取られることもなく、大好きな文章を書く仕事に就いています。
ハローワークで障害者雇用を探してみると、意外に多くてびっくりします。
今は従業員43.5人を超える事業主は、障害者1人以上を雇用しなければならない、というルールがあります。
まだまだ順守されている企業は多くありませんが、私は前のA型作業所よりも今の障害者雇用の方が楽だと感じています。
また最近は転職サイトも数多くあります。転職サイトはターゲット層に違いがありますから、自分の年齢に合った転職サイトを探すようにしてください。
【体験談】私がA型作業所に通所していたときのストレス
私がA型作業所に通所していた際、感じていたストレスを紹介します。
仕事がヒマすぎる
本当にびっくりしたのですが、仕事がヒマすぎて困っていました。
「何をすればいいですか?」と訊ねても、その人も仕事がなくて困っている、という状況がザラにあり、「A型作業所ってこんなものなの!?」と驚いた記憶があります。
在籍していた部署がWEB関係だったので、取材に出ないと記事もランディングページ制作もできないといった感じで、一日ネットサーフィンに明け暮れて終業、ということもよくありました。
仕事が忙しいのはストレスですが、あまりにも仕事がないのもストレスになると、実感した出来事です。
A型作業所に通所している人を見下す上司がいた
上記にも紹介した「部長」が、あからさまに障害者をバカにしている雰囲気を醸し出していました。
本人は隠しているつもりでも、言葉の端々にそういった感情は見えるものですよね。
ましてや精神障害者はそういった空気に敏感です。
「私は部長に嫌われている」と、随分悩んでいました。
専門的な知識が分からない
あるとき社長から呼ばれて「ウチの会社のサイトデザインを任せたい」と言われ、びっくりした覚えがあります。
サイトデザインなんかまったくやったこともないのに、一体なにを言い出すのか。
しかも、じっくりと勉強をしてからなのかと思いきや、「2ヵ月以内で」と超無茶振り。
あり得ない、と思いながらできる限り本を読んで勉強し、デザインしたのですが、私でも分かるくらいお粗末な出来栄えで、専門的な知識がある他の利用者がデザインをし直しました。
このときほど胃が痛く、ストレスを溜めたことはありません。
【体験談】A型作業所にストレスを感じたとき、私がしたこと
多少のストレスは良いと聞きますが、あまりにもストレスを溜め込んだとき、私がしたことを紹介します。
とにかく学習
サイト作成の件ですが、専門的な知識がまったく欠けているので、とにかく勉強しました。
本を購入して(自腹)読み込み、今はやりのデザインを見て勉強して、見やすい、分かりやすいデザインとはどういったものかを知る。
私なりに一生懸命作ったデザインは没になりましたが、学習したことで、サイト作成の知識の上澄みくらいを勉強することができました。
上記でも紹介しましたが、ヒマなときはひたすら学習時間に充てましょう。
他の部署に応援
自部署がどうしてもヒマで、ネットサーフィンに飽きた、という場合、他の部署に行って「何かすることあります?」と声をかけていました。他部署はふるさと納税の代行作業をしていたので、12月は超繁忙期。
猫の手も借りたかったのでしょう。
教えてもらいながらですが作業をすることで、ヒマな時間を潰すことができました。
【まとめ】A型作業所にストレスを感じたら、対処法も考えてみましょう!
A型作業所でストレスを感じるとき8選、またストレスの対処法を、私の経験も交えて紹介しました。
私見ですが、A型作業所はいつか辞める場所だと考えています。
一般就労だったり、障害者雇用だったり。
A型作業所は通所することで規則正しい生活を送り、業務をこなし、人間関係を潤滑に進めるための場だと思います。
ストレスを抱えるまで同じA型作業所に通うのはナンセンスです。
対処法を実行し、どうしても解決に向かわないのであれば、他のA型作業所などの方法を試すようにしてください。
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