「障害者雇用を何社も応募しているけれど、不採用続き……」「精神障害者は採用されないって聞いたけれど本当?」
不安に思っている精神・知的障害者は多いでしょう。
そこで今回は、障害者雇用は身体障害者優先なのか、また現在就活をしている精神障害者の筆者が感じる就活の難しさを告白します。
障害者雇用は身体障害者優先なの?
障害者は身体障害者を雇用したい、という噂。本当でしょうか。
調べてみました。
求人票は「障害者」
男女雇用機会均等法が制定された1985年以前には、求人票に堂々と「〇歳以下の男性募集」といった記載がされていました。
現在は「男女の区別なく採用を決めてはいけない」と言われています。
しかし企業の心中は「できれば男性(女性)が欲しい」と思っていることもあるでしょう。
障害者雇用も同じで、求人票には「障害のある方」といった書き方をされています。
採用側の本音は言わないのですが、実際のところは「障害者でも症状が軽い人が良い」「できれば身体障害者が欲しい」と思っているかもしれません。
会社の本音は「身体障害者」
私は現在の障害者雇用企業を辞めたく、就活に励んでいます。
が、実態は書類選考すら通らず不採用続きの連続。不採用の連絡すらない企業もあります。
応募した企業の本音は「身体障害者が欲しい」という理由かもしれません。
どうしてなのか、次の項目で紹介します。
身体障害者を優先する理由
なぜ企業は身体障害者を優先して採用したがるのか。
ある程度予想はつくでしょうが、身体障害者は精神や知的障害者に比べると体調の変化が少なく、合理的配慮さえすれば長く勤めてもらえる可能性が高いからです。
精神・知的障害者の1年後の職場定着率は50%を切っていると言われます。
主な理由は体調の悪化、仕事についていけないなどの理由があります。
企業としては時間を割いて教育をしているのに、辞められてはそれまでにかかったコストが無駄になってしまうのです。
そこで、身体にハンデはあるけれど気圧やストレスで体調不良を起こすことが少ない身体障害者を欲しがるのだと推測されます。
(あくまでも筆者個人の考えです。身体・精神・知的関わらず雇用している企業もたくさんあります)
一般就労並みに給料が高い求人は注意
「えっ、この企業、こんなに給料が高いの!?」と言いたくなるような求人があります。
福利厚生も充実しているし、合理的配慮のしっかりしてくれそう! と勢い込んで応募しても、筆者(精神障害者)は落選続きです。
もしかすると、精神障害者という以外にもスキルが足りない、履歴書の判断で不採用としているのかもしれません。
しかし主治医は「障害者雇用で一般就労並みに給料が高い企業は、ほとんど身体障害者が欲しいのですよ」と言われてガッガリしました。
このように、給料が高い企業はそれなりの理由があっての求人だと考えられます。
仕事を休みがちな精神・知的障害者では難しいと考えているのかもしれませんね。
「精神障害者はすぐに欠勤する」と言われると「ひとくくりにするな」と言い返したくなりますが、悲しいかな、これが現実のようです。
精神・知的障害者は障害者雇用ができない? 筆者の実体験を告白!
障害者雇用は身体優先なのか、またその理由について紹介しました。
次は筆者の実体験を交えて障害者雇用の難しさを紹介したいと思います。
精神障害は書類選考すら通らない
前述したように、障害者雇用の求人で「身体障害者募集」とは絶対に記載されません。
しかし筆者は十数社にわたって障害者雇用の募集案件に応募しましたが、かすりもせずに不採用。
理由は他にもあるかもしれません。スキル不足だったり、年齢だったりが原因かもしれません。
しかし生活のため、少しでも給料が高い企業に応募していましたが、返答すらない企業も多々ありました。
そういうことが続くと「やっぱり身体障害者は企業にとって邪魔な存在なのかな」と思わずにいられません。
障害者雇用自体が少ない
そもそもの話ですが、障害者雇用自体が少ないことが問題になっています。
現在精神障害者は増加しているそうです。
会社からのパワハラ、モラハラやいじめ、サービス残業などで身体を壊し、うつ病や不安障害などの精神障害になってしまう人が多くなっています。
その中で障害者雇用を探すのですから、精神・知的障害者はなにがしかのスキルや前職での経験がないと採用は難しくなります。
地方は求人がさらに少ない
筆者は車社会の、本当になにもない場所です。
そのため都市圏に比べるとさらに障害者雇用の求人は少ないのです。
仮にあったとしても今まで経験がない仕事だったり、希望している業種ではなかったりとなかなか自分で「やりたい!」と思う企業がありません。
まれに「お、これは!」という企業があっても、明らかに身体障害者目当ての募集であったり、年齢制限がある企業だったり、まったく就活が進んでいないのが現状です。
前例がない企業はまず不採用
企業は一定数の人数を雇用する場合、障害者を雇用しなければならない、と定められています。
しかしまだまだ行き届いているとは言い難く、健常者ばかりの企業も珍しくありません。
また障害者雇用で求人を出したとしても、前例がないため企業はどのように対応して良いのか分からず、配慮の方法も分かりません。
その点身体障害者は、言い方は失礼ですが、何処に障害があるのか分かるので配慮がしやすくなります。精神・知的障害者のように突然欠勤する、ということも少ないでしょう。
障害者雇用の前例がない企業で、精神・知的障害者の採用はほぼ不可能だと、この数ヶ月で分かったことです。
特例子会社は精神・知的でも歓迎
「じゃあ精神・知的障害者は障害者雇用で働くことはできないの?」と不安に思っている方もいるでしょう。
しかしそれは杞憂です。
特例子会社という企業があります。
特例子会社は障害者の雇用促進、安定を図るための配慮が充分に行き届いた企業です。
特例子会社のモットーは「自身の健康を第一に考えること」。
つまり業務も大切ですが、自分の体調を大切にしてください、ということです。
そのため急な欠勤や時短勤務に配慮してもらえる、業務の得手不得手を理解して、「この人にはこの仕事」と、障害者が勤めやすい環境を整えてくれます。
筆者も現在は特例子会社に就労しています。
「ここってA型作業所よりも規則が緩いのでは」と思うほど、障害者への配慮が行き届いています。
しかし不満に思うこともあるので、スキルアップして別の障害者雇用に転職を考えているところです。
もちろん、特例子会社以外の障害者雇用でも、障害に関係なく雇用している企業もあります。
自分で「ここなら働けそう」と思ったらどんどん応募してみましょう。
不採用でも落ち込まず、パッと切り替えて次を探せばいいだけです。
諦めない気持ちが肝心ですよ。
まとめ
障害者雇用は身体障害者ばかりなのか、その理由や筆者の実体験を交えて障害者雇用の実態を紹介しました。
筆者の感じたことなので、もちろん障害者に配慮した企業もありますし、身体障害者以外でも積極的に採用している企業もあります。
あくまで「参考程度」に留めて、就活、頑張ってくださいね!
障害者雇用で働くには、転職エージェントの利用がおすすめです。