企業は一定数の従業員を雇用したら障害者も雇用しなければなりません。
理解のある企業なら障害者も健常者も平等に扱ってくれるでしょう。
しかし中には障害者に対する理解が薄い、「障害者を入れてもまともに仕事をしない」と思っている企業(人)もいるのが現実です。
今回は、障害者雇用は迷惑な存在なのか、健常者目線で紹介するとともに、迷惑な存在だと思われないための対処法を紹介します。
障害者雇用は迷惑なの? 健常者の目線
「障害者」と検索すると「迷惑」とサジェストが出ます。
自身も障害を持っている身としてはショックですが、どのあたりが迷惑に感じるのか、健常者目線(想像ですが)で紹介します。
急な体調不良が多い
障害、特に精神所会社は季節や気圧で突然体調を崩してしまうことが多いです。
筆者自身も精神障害なので、気圧の変動やストレスで急に起き上がれないこともあります。
本人は「突然休んでしまって申し訳ない」と思っていても、健常者にとっては「また急に休んで、こっちに仕事が回ってきてしまう」と苛立っているのかもしれません。
やはりこれも障害に対する理解がないことが原因です。
障害者同士で固まってしまう
障害者を複数人雇用している企業によくあることですが、障害者同士が固まって行動してしまうことが多々あります。
やはり病について分かり合えるのは、同じ障害者同士なのでくっつきたがる気持ちは理解できます。
しかし障害者同士で固まってしまうと、健常者がコミュニケーションを取りたくても出来なくなってしまいます。
そうなると企業にとって障害者は扱いづらい人になってしまい、困った存在と認識されているのかもしれません。
コミュニケーションを取れない人がいる
これは性格もあるでしょうが、障害や症状によって仕方がないこともあります。
コミュニケーションを取ることがどうしてもできない人、自分から話しかけることに恐怖すら覚える障害者もいるのです。
また反対に異常にコミュニケーションを取りたがり、仕事中でもお構いなしに他の人と話をして業務を怠る障害者もいます。
会社はおしゃべりをしに行く場所ではありません。
また、誰とも話をせず黙々とする仕事もわずかです。
最低限のコミュニケーションを取らない人は、会社にとって迷惑な存在だと思われることもあります。
「社会人」の自覚がない?
障害者雇用に至るまでの道のりはその人にとってまったく違います。
A型作業所からステップアップした人も、今まで引きこもりをしていた人が一念発起して障害者雇用にチャレンジし、入社してきたのかもしれません。
そういった努力の末に障害者雇用にありつけた人は真面目に業務を遂行するのでしょう。
しかし中には社会人としての自覚が薄い方もいます。
確かに障害者雇用は一般就労に比べると合理的配慮をしてもらえたり、時短勤務に対応してもらえたりといった配慮を受けられます。
しかしそれに甘えて、出来る仕事も他の人に押し付けたり、「自分は障害者だから」と開き直ってワガママを言ったりする障害者もいます。
障害者雇用はA型作業所より甘くありません。
業務態度がよくなかったり、職場の空気を乱したりするようであれば、解雇されることもあります。
障害者雇用でも「社会人」ということに変わりはありません。
自覚を持って業務にあたることが大切です。
場の空気を乱す存在?
筆者がA型作業所に通所していたとき、場の空気を乱す方がいました。
皆で話をしていたら、突然割り込んできて自分の話を始めたり、他の部署の業務にも口を出して、自分の意見をゴリ押ししたり。
本人としては自覚がないのでしょうが、その人が来ると「ああ、またなんやかんや言われる」とため息をつきたくなることもありました。
健常者も同じような人がいますが、「障害者は場の空気を乱す」と考えている人もまだいるのが現実です。
仕事を教えても理解してもらえない?
仕事を教えても、一度で覚えられる人、何度も教えないと理解できない人もいます。
これは障害者、健常者変わりはないと思います。
かくいう筆者も、数回教えてもらってようやく自分でできるようになる、仕事の遅い人間です。
しかしそれを「障害者だから仕事が遅い」と言われるのは心外です。
健常者だって仕事が遅い人もいるのに、障害者だから仕事が遅い、とは差別以外の何ものでもありません。
「やってみて、言って聞かせてさせてみて、褒めてやらねば人は動かじ」。山本五十六の言葉です。名言だな、と思います。
数回教えても覚えてくれない、という状況は健常者にとってイライラする存在かもしれません。
しかし障害の特性上、どうしても覚えられない人がいることを理解してもらえないと、いつまでも「障害者雇用は迷惑な存在」といった考えが改まることはありません。
「障害者雇用は迷惑」と思われないために、何をすべきか?
障害者は迷惑。口に出さずともそう思っている方は多いでしょう。
では障害を持った私たちはどうすれば「迷惑な存在」と言われなくなるのでしょう。
対処法を紹介します。
「本当に自分にできる仕事か」を考える
これは応募前に考えておくことです。
単純に家から近い、給料が良い、だけで決めずに業務内容をしっかり見て「本当に自分のスキルでこれができるのか」を考えてみましょう。
できることなら、面接の段階で仕事現場を見せてもらい、他の方がどのような仕事をしているのか自分の目で確かめることをおすすめします。
また企業も、数日から1,2ヵ月の試用期間を設けて「実際に業務に携わってもらい、長く勤められるか」を見る、というところもあります。
周囲へ障害の理解をお願いする
障害者雇用といっても、障害や症状、特性は無数にあり、同じ病名だとしても個人差が大きいのが障害です。
そのため、せめて同じチームで働く仲間には、自分の障害と症例、配慮をお願いしたいことを打ち明けるようにしましょう。
配慮については、ワガママと取られないよう、「これはできるけれど、これができないので配慮をお願いします」と話しておくと、理解が得られる可能性も高くなります。
面接の段階で聞かれることもありますので、ここでも配慮してほしいことを伝えるようにして下さい。
「指示待ち人間」にならない
指示を与えないとまったく動かない人、いますよね。
パソコンの前でボーっとして、誰かが仕事を与えないとまったく作業をしない人。
他の人にとっても迷惑な存在でしかありません。
健常者にもそういう人がいますが、陰口を叩かれたくないのであれば、自分から積極的に動いて仕事を探してみましょう。
先輩や上司に指示を仰ぐ、整理整頓をする、自分でできそうな業務を教えてもらうなど、自身の努力を忘れないようにしてください。
一生懸命仕事に励んでいる内に「この人は障害を持っていても充分戦力になる」と判断されるかもしれません。
分からない業務は「分からない」としっかり聞く
分からないことを「分からない」と訊く。これはかなり勇気のいる行為だと、筆者は考えます。
その人は忙しい中時間を割いて私に教えてくれているのに、私の頭が悪いからよく分からない、と自身を責めてしまったこともあります。
しかし分からないことをそのままにしてしまっては、いつか大きな事故や問題になってしまうかもしれません。
一度ですべてを覚える必要はありませんが、「ここをもう一度教えてください」と謙虚な姿勢で教えを乞う方が、後々のためにも大切です。
ぜひ勇気を出して、質問してください。
メモを取る習慣をつける
筆者が個人的に嫌いなのが、仕事を教えてもメモを取らない人です。
「頭の中で覚えているから」という人もいます。おそらく記憶力に自信があるのでしょう。
しかし人の記憶力は万能ではありません。
うっかり聞き逃してしまったこと、絶対に間違えてはいけないことを忘れてしまったら、どう責任を取るのか。
筆者は仕事を教えてもらったらその場でメモを取り、家に帰ってから改めて丁寧にメモを取る習慣をつけていました。もちろんミスはあります。
しかしメモを見返すことで損害を最小限に抑えられるかもしれません。
「しっかりと仕事を覚えようとしている」という意思も見えます。よほどの単純作業でない限り、メモ帳を持ち歩く癖をつけるようにしましょう。
まとめ
障害者雇用は迷惑だと思われているのか、その理由、また迷惑と思われないための対処法を紹介しました。
障害者雇用は迷惑、と思われるのは悲しいですよね。「障害を持っていても働ける」という努力を忘れず、仕事に励んでください。
障害者雇用で働くには、転職エージェントの利用がおすすめです。